「前歯を差し歯に変えないといけなくなったが、差し歯ってどんな種類があるの?」「天然の歯と見分けがつかないような綺麗な差し歯を入れたいけど本当に入れられるの?」
一番見た目でも目立つ前歯を虫歯や事故のケガなどで差し歯に変えないといけなくなってしまった、また見た目を良くするために差し歯に変えたい、いろいろな理由がありますが一体差し歯の種類ってどれくらいあるのか疑問ですよね。
自分のお財布事情に合い、綺麗でピッタリ合った差し歯で笑顔になりたいと思います。
歯医者の治療で先生から特に何の説明もなく高い差し歯にするように言われたり、出来上がって入れた差し歯が理想の見た目じゃなかったりと、歯科でのトラブルは少なくありません。
差し歯の材質は
●硬質レジン前装冠
●硬質レジンジャケットクラウン
●メタルセラミッククラウン
●オールセラミッククラウン
●ジルコニアクラウン の5つの種類があるのです。
5つも選択肢があるのに、何も知らぬまま治療をすすめられてはもったいないですよね?ここではその5つの材質の種類を理解し、歯科治療を安心、納得して受けられるようになるために差し歯の種類、料金、メリットデメリットについて詳しく解説します。
1.差し歯の材質による5つの種類
硬質レジン前装冠 | 硬質レジンジャケットクラウン | メタルセラミッククラウン | オールセラミッククラウン | ジルコニアクラウン | |
適応部位 | 前歯、奥歯 | 前から4番目5番目 | 前歯、奥歯 | 前歯、奥歯 | 前歯、奥歯 |
強度 | 〇 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
美しさ | まあまあ | まあまあ | 綺麗 | かなり綺麗 | かなり綺麗 |
価格 | 5~8千円 保険適応 | 3~5千円 保険適応 | 8~15万円 保険外 | 8~15万円 保険外 | 6~13万円 保険外 |
1-1 硬質レジン前装冠
硬質レジン前装冠とは、内側が金属になっており強度があるので力が多くかかっても耐えられることができます。
また表面にはレジン(プラスチック)が張り付けられていますので見た目も白くなっています。
しかしプラスチックですので天然の歯のような透明感がなく差し歯が入っている感じがあり、内側の金属と歯茎の境目が黒くみえることがあります。
価格は5~8千円で前歯の6本に用いられ、保険適応ですので差し歯で最も多く用いられる材質です。
「見た目が白くて、とにかく価格が安いのがいい」という方におススメです。
1-1-a メリット
・内側が金属なので強度があり、ある程度の強い噛み合わせにも耐えられる
・保険適応なので安価
・表面は白いので見た目はそこそこ綺麗
1-1-b デメリット
・金属アレルギーの人には使用できない
・年数が経つと表面が変色、着色してくる
・色見が決まっている
・歯と歯茎の境目が黒く変色してくることがある
1-2 硬質レジンジャケットクラウン
硬質レジンジャケットクラウンとは、すべてレジン(プラスチック)でできています。
見た目はプラスチックですので白く、金属が使われていないため歯茎の境目が黒くならないですが、安っぽく見えたり強い噛み合わせなどで割れることもあります。
価格は保険適応で3~5千円でとても安価で前から4番目5番目の歯のみに用いられます。
「銀歯は嫌だが、とにかく安いのがいい」という方におススメです。
1-2-a メリット
・金属アレルギーの人でも使用できる
・白いのでそこそこ綺麗で歯と歯茎の境目が黒くならない
・前から4番目5番目の歯に用いることができる
・保険適応なので安価
1-2-b デメリット
・噛み合わせが強く当たるところでは、すり減りや、割れることがあるので用いられない
・年数が経つと変色、着色してくる
・よく見ると安っぽい
1-3 メタルセラミッククラウン
メタルセラミッククラウンとは、中が金属でできており強い噛み合わせに耐えられる強度があり、表面はセラミック(陶器)が張り付けられているので透明感があり綺麗ですが、透明感がある分、中の金属が多少透けて見えることもあります。
また、古くから歯科治療でも用いられている材質でもあります。
価格は8~15万円と保険適応外で、前歯、奥歯すべての部位で用いられます。
「この先ずっと使っていきたい、少しでも綺麗なものを入れたい」という方におススメです。
1-3-a メリット
・十分な強度がある
・表面がセラミックなので変色、着色しにくい
・隣の歯に近い色を選べ、見た目がいい
1-3-b デメリット
・歯と歯茎の境目が黒くみえてしまうことがある
・金属アレルギーの人には使用できない
・保険適応外なので価格が高い
1-4 オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンとは金属の部分がなく全てセラミック(陶器)でできており、透明感があって天然の歯に近い見た目です。
ただあまりにも噛み合わせが強い部分だとすり減ってくることがあり、構造上どうしても歯を削る範囲広くなります。
価格は8~15万円と保険適応外で、前歯、奥歯すべての部位で用いられます。
「とにかく天然の歯と変わらないような歯にしたい!」という方におススメです。
1-4-a メリット
・年数が経ってもほとんど変色、着色がみられない
・天然の歯に近い透明感があり、隣の歯に近い色が選べるので見た目が良い
・金属アレルギーの人に使用できる
1-4-b デメリット
・割れやすいことがあるのであまりにも噛み合わせが強い部分には使用できない
・保険適応外なので価格が高い
・削る範囲が広くなってしまう
1-5 ジルコニアクラウン
ジルコニアクラウンとは、人工ダイヤモンドとしても用いられる材質で強度があり、色も白いことから近年歯科治療で用いられるようになりました。
価格は6~13万円と保険適応外で頑丈な素材であるため奥歯での使用はもちろん、審美的にも問題ないので前歯にも用いることができます。
「見た目もよくて強度もあり、この先長くつかっていきたい」という方におススメです。
1-5-a メリット
・色が変わりにくい
・十分な強度がある
・白くて目立たない
1-5-b デメリット
・しいて言うなら、まれに割れてしまうことがある
2.目的別の差し歯の種類の選び方
これだけあると自分にはどの差し歯が合っているのか?と悩んでしまう方も少なくないと思います。
ここでは目的別に差し歯の種類を分かりやすく分けて説明します。
2-1 とにかく安く済ませたい
ある程度見た目もよくて安く済ませたい人、そんなにこだわりがない人に
〇硬質レジン前装冠(前歯)
〇硬質レジンジャケットクラウン(前から4番目5番目) の二つがおススメです。
双方、保険適応で価格も3~8千円くらいまでですのでお財布には優しいです。
また見た目も白くなっているので、そこまで見た目にこだわらなければこちらの二種類がいいかと思います。
2-2 とにかく白く綺麗にしたい
お金に余裕があるのでとにかくきれいにしたい、入れているのがみんなに分からないのがいい人に
〇オールセラミッククラウン(前歯、奥歯)
〇ジルコニアクラウン(前歯、奥歯) がおススメです。
双方、透明感があり色の選択もできるので見た目重視したい人、また保険適応外ですのでお金をかけてもいい人にはこちらがいいかと思います。
2-3 とにかく強度があるものがいい
噛み合わせが強いと言われた、長くもたせたいので強いものがいい人に
〇硬質レジン前装冠(前歯)
〇メタルセラミッククラウン(前歯、奥歯)
〇ジルコニアクラウン(前歯、奥歯) がおススメです。
硬質レジン前装冠、メタルセラミッククラウンでは内側が金属でできており十分な強度もあります。
ただ金属に張り付けられているのが硬質レジン前装冠の場合レジン(プラスチック)、メタルセラミッククラウンの場合セラミック(陶器)と違うので強度と安さを求める人は硬質レジン前装冠、強度と見た目の綺麗さを求める人はメタルセラミッククラウンがいいと思います。
ジルコニアクラウンには金属がありませんがジルコニアという材質自体が凄く強い強度です。
金属がない分歯茎が黒くなったりしないので歯も歯茎もきれいなままがいい人にはいいかと思います。
2-4 金属アレルギーでも用いられる
金属アレルギーの人でも安心して入れることができるのは
〇硬質レジンジャケットクラウン(前から4番目5番目)
〇オールセラミッククラウン(前歯、奥歯)
〇ジルコニアクラウン(前歯、奥歯)がおススメです。
硬質レジンジャケットクラウンの場合では前から4番目5番目の歯と決まっていますが価格も安くお財布に優しいです。
オールセラミッククラウン、ジルコニアクラウンの場合は保険適応外ですが見た目が綺麗なので、見た目を気にする人にもいいかと思います。
そして3つとも金属が含まれておりませんので、差し歯を入れて歯茎が黒くなってしまった人にもおススメです。
3.まとめ
以上5つの種類の材質が差し歯に用いられます。それぞれに特徴、メリットデメリットがありますが、患者様の口腔内の環境によっては用いることができない(用いたとしても長持ちしない)材料もあります。
その判断は歯科医師によるものですが、このような種類があるということを理解し知っていただければ、治療の幅も広がります。
保険適応だからすぐ悪くなる、保険適応外だから必ずきれいなものである、とは思わず、本当に合った材料を選択できればいいかと思います。
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