歯周病で歯を抜かなければいけない、事故やケガで歯が割れてしまい抜かなければいけなくなった、みなさんも治療ではどうすることもできなくなり最終手段の歯を抜く状況になってしまったことはありませんか?
その場合抜いてしまったところを今後どうするか、選択しなければいけません。
歯を抜いても、爪と同じように生えてきてくれれば悩むことなんてないのですが永久歯は抜いてしまうともう二度と生えてはきてくれません。
そこでインプラントを勧められたことはありませんか?インプラントの場合は抜いたところにネジを埋め込み、人口の歯を作るので本当の歯の感覚で物を噛むことができます。
しかし良いことの反面、デメリットもいくつかあるのです。
インプラントをしたいがデメリットが怖くて悩んでいるというかたも、どんなデメリットがありどんな対処法があるのかをしっかり理解しトラブルなくインプラントの手術を受けてほしいと思います。
ここではインプラントのデメリットやその対処法、インプラント以外の選択肢のご紹介、失敗しないための歯科医院選びの方法をご紹介しておりますのでぜひ参考にしてください。
1.インプラントの5つのデメリットとその対処法
ここではインプラントのデメリットとそれぞれの対処法についてお話しします。
1-1 神経や血管を傷つけてしまう可能性がある
インプラントは局所麻酔を打って行う外科手術です。手術と聞くと大掛かりなものを想像するかもしれませんが、歯茎を切って骨にネジを埋め込みます。
その時に近くに大きな神経や血管が通っていて、万が一傷つけてしまうと唇が麻痺したり出血が止まらなくなってしまいます。
〈対処法〉
あらかじめ術前にCT撮影を行います。それに伴い神経の位置や血管の位置を確認するガイド(サージカルガイド)を作っておきます。
そうすることによってインプラントを打つ位置が神経や血管に傷をつけないか判断でき、麻痺や出血などのトラブルを防ぐことができます。
1-2 全身疾患があると注意が必要
インプラントを行う上で全身疾患があると注意が必要になります。全身疾患があると手術ができないというわけではなくあらかじめ対処をすれば安全に受けることができるのです。
特に注意が必要な全身疾患は高血圧、糖尿病、骨粗しょう症です。
高血圧の場合、手術に対する緊張や不安、また局所麻酔薬の成分でごくわずか血圧が上がってしまいます。最高血圧が190以上になると動悸などが引き起こされることがあります。
糖尿病の場合、傷が感染しやすくまた治りにくいことがあります。
骨粗しょう症の場合、ビスホスホネート製剤を使っていると術後、骨髄炎で顎骨が壊死してしまう可能性があります。
〈対処法〉
高血圧…笑気吸入鎮静法を用います。
笑気吸入鎮静法は全身麻酔のように眠ってしまうわけではなく、ソファでうたた寝しているような心地いい状態です。低濃度の笑気ガスを吸って行いますので、手術が終われば普通に帰ることができます。
糖尿病…かかりつけ医と相談の上HbA1cの値が外科的処置に耐えられる値(HbA1c7~8%)まで下がっていれば処置が可能です。
骨粗しょう症…ビスホスホネート製剤を休薬しなくても、インプラントをかなり慎重に行えば防げる場合があります。
1-3 治療期間が長い
インプラントは、入れ歯や被せ物のように型を取って数週間でできるものではなく、ネジが顎の骨にくっつくのを待たなければいけません。
基本的に期間は3~6か月くらいかかりますので、治療期間は長いでしょう。
〈対処法〉
ネジが骨にくっつくのを待たずに、被せ物を作ったりしてしまうと炎症が起こってネジが抜けてしまう可能性があります。ですのでこの期間は絶対に守る必要があります。
しかしネジを打ったところには何もない状態なので噛み合わせや見た目を補うためには、インプラントを打ったその日に仮歯を作ることができます。
これである程度の噛み合わせと見た目を確保できます。
1-4 保険適応外なので値段が高い
インプラントは保険適応外なので、平均でも1本30~40万ほどします。
中には1本7万円ほどで行う歯科医院もあるみたいですが、そこまで極端に安いのは中国製のチタンを購入している場合が多いので安いからと言って選ぶのはオススメしません。
〈対処法〉
平均的に30~40万ほどしますので、これを安くすることはできません。
ですのでお金を貯めることが対処法になってしまいます。貯めるまでは部分入れ歯にし、そこからインプラントにすることは可能です。
1-5 歯周病になってしまうことがある
インプラントは人工的なネジを顎の骨に埋め込みます。その上に被せ物をしますので虫歯になることはありません。
しかし顎の骨が溶かされてしまう歯周病にはなる可能性があります。歯周病の原因は細菌です。つまり不潔にしていると細菌によってインプラントの周りの骨が溶かされてしまうのです。
〈対処法〉
まずはご自身で毎日の歯磨きを徹底することです。そこでインプラントの周りを歯間ブラシでお掃除することが重要になります。
あとは3か月に1回の定期検診で専用の道具を使いお掃除してもらうことです。
また1年に1回は骨に変化がないかレントゲンを撮影することをオススメします。
1-6 歯茎が下がると黒く見えることがある
これは奥歯よりも前歯のほうが目立ってしまうことですが、インプラントの清掃を怠って汚れが付着していると、歯茎が腫れます。
そこに細菌がたくさんいますので、それによって歯茎が徐々に下がってしまうのです。
歯茎が下がると埋め込んであるインプラントのネジ部分がむき出しになり、黒く見えてしまうのです。
〈対処法〉
まずはインプラント部分の清掃を怠らないこと、定期検診で専用の器具で掃除してもらうことが第一になります。
歯茎が下がってしまった場合は、外科手術ですが「歯肉再生療法」というものがあります。下がってしまった部分に人工の歯茎を作る手術で平均5万円~です。
そのような手術をしないためにもケアはしっかりしましょう。
2.インプラント以外の3つの選択肢
インプラントの手術はやはり怖くてできない…インプラント以外に方法はないのか?
ここでは、インプラントの手術に踏み出せない方にインプラント以外の選択肢を3つご紹介します。
2-1 両隣を削るブリッジ
値段 | 見た目の綺麗さ | 治療期間 |
1~2万円 | 綺麗とは言えない | 2週間~3か月(個人差あり) |
ブリッジは抜いた歯の両隣の歯を削り橋渡しのような被せ物です。抜けた1本分を2本で支える仕組みになっています。
両隣の歯が被せ物をしている場合は被せ物を取って形を整え型どりし作るだけなので、そこまで負担はありませんが、両隣の歯が何も治療をしていない健康な歯の場合、削らないといけません。
また抜けているところが2本になると、その両隣の歯で2本分支えないといけないのでかなりの負担にもなります。
しかし治療期間も早ければ2週間ほどですし、値段も1万ちょっと(保険適応)なのでインプラントよりもお財布に優しいです。
2-2 隣の歯に金具をかける部分入れ歯
値段 | 見た目の綺麗さ | 治療期間 |
5千~1万5千 | よくない | 数週間 |
部分入れ歯は隣の歯に金具をかけて抜けた歯のところに歯があるようにみせかけるものです。
抜いた歯の本数によっては反対側の歯に金具をかけたりすることもあります。
金具をかけている歯が天然の白い歯であれば、笑った時など金具が目立ってしまうのです。
また入れ歯でしっかり物が噛めるということも少なく、違和感が多いこともあります。
見た目に関しては保険外で金具のない入れ歯を作ることができます。
2-3 一番奥のみなにもせず放置
抜いた歯の後ろに歯がある場合、歯は前の方向に倒れてきます。ですので後ろに歯があってその歯が倒れてきてしまうと、ブリッジがしたくなったり入れ歯を入れたくなっても不可能になります。
つまり前から7番目の歯を抜いた場合は、インプラントや入れ歯をしなくてもとくに弊害は起こらないのです。もちろんインプラントを入れると上下の歯がちゃんと噛み合うので安定はしますが、前から7番目の歯のみは、放置という選択肢もあるのです。
3.歯科医院を選ぶ時のポイント
歯科医院は日本全国たくさんあります。インプラントをする場合でも、虫歯を治療する場合でも失敗しない腕のいい歯科医院で治療をうけたいですよね?
ここでは歯科医院を選ぶ際に押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
あくまで私の意見ですので、参考にしてみてください。
3-1 デメリットやリスクを説明してくれる
虫歯の治療をする場合でも、インプラントを考えている場合でもまず説明が少ない歯科医院はオススメではありません。説明が不十分なまま歯を削られたり抜かれたりするトラブルは多いのです。
まず第一に今から何をするか、今後どうするかの説明がきちんとされるかが大事です。
そしてそこで伝えられた方法が必ずしも問題がないとは限りません。
歯が割れてしまうかもしれない、長くもたないなどデメリットやリスクを説明してくれる歯科医院は良いと思われます。
きちんとデメリットやリスクまで説明されていると、もしそのデメリットやリスクが起きてもトラブルは少ないのです。
3-2 歯を残すことに尽くしてくれる
昔の歯科医院では虫歯になったり、痛くなったりするとすぐに歯を抜いていました。
しかし最近では8020運動と言って、80歳で20本の歯を残そうという運動もあるくらい、歯を残すことが重要になっています。
ですので、やたらとすぐに歯を抜くことをすすめる歯科医院はオススメではありません。
残せるか残せないかギリギリのラインの歯でも、まずは治療をしそれでもダメな場合は抜くという歯科医院は良いと思われます。
もちろん隣の歯に悪さをしている親知らずや、治療が不可で抜くしかない場合の歯は抜歯を勧められますので必ずしも抜くのを勧めることがダメではありません。
3-3 自費ばかりすすめてこないか、極端に安くないか
治療をするにあたって、患者さんはある程度自分で選択することができます。
しかし自費ばかり勧めてくる歯科医院は利益のことばかり考えている可能性が高いのでオススメできません。
保険のものだとすぐ悪くなる、保険外のものでないと入れられないなどはありません。保険内のものでも長くもっている人はたくさんいます。
またインプラントの値段が極端に安いところもオススメできません。
インプラントは平均30~40万円です。インプラント7万円など極端に安く宣伝しているところは、入れた後に炎症が起きインプラントを抜かなければいけなくなってしまうこともあります。
3-4 ホームページの口コミを鵜呑みにしない
歯科医院だけでなく、お店や病院などそこの口コミは気になるものです。
しかしホームページ内の口コミはあまり信用できないと考えています。いくらでも偽りの投稿ができますし、サクラが投稿しているケースがあるとも聞きます。
もちろんリアルな投稿もありますが信用しすぎない方が良いでしょう。
4.まとめ
以上がインプラントのデメリットです。インプラントを悩んでいる人もしっかりとデメリットを理解して、納得してから治療をすることをオススメします。
また、インプラントという選択肢だけではなくブリッジや入れ歯など他にも選択肢はあります。
最終的に決断するのは患者さんですので、しっかりと考えて良い治療をうけてください。
そのためにも良い歯科医院を選び、長く付き合っていけるようなかかりつけの歯科医院を見つけることが最善かと思われます。
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